切り裂きジャックの正体ついに判明!?という流れを受けて関連書籍を読む(前編)「決定版 切り裂きジャック」

 

前回「切り裂きジャック」の犯人が判明したしたとネットで騒がれていて、実際のところ別に決定的証拠じゃなかった、という話を書いたのですが

それにしたってその関連本の書籍を一冊も読んでないことには何も意見を述べられないな、とあちこち探していたところ

この本と

この本を立て続けに購入することができました。

 

決定版 切り裂きジャック 感想

決定版 切り裂きジャック (ちくま文庫)

 

「決定版 切り裂きジャック」は事件当時のイギリスの空気、事件が起きた地区「イースト・エンド」の貧困・生活苦・酒びたりの住民たちの捨て鉢で荒廃した日々の生活から、当時の石炭による煙の汚染の話など非常に出だしからして重苦しい。

日本に暮らしていれば清潔で、質素ではあるがなんとか最低限の生活が送れる、というレベルとは全く異なる、まさに人であるためのギリギリの生活であることが描写されていきます。

被害にあった女性たちは喜んで春をひさいでいた訳でもなんでもなく、当時のイギリスでは生きていくために学もなんのスキルも持たない女たちが生きていくにはそうするしかなかった、という社会情勢が描かれていきます。

つまりそうした女たちが売れるものは「自分」しかいなかった、ということになります。

気分が滅入りますが、手にかけられたのは社会でもっとも弱い女たちであり、そんな女たちが謂れのない憎しみを獣のような犯人にぶつけられ、また傷つけられた事件であることに認識を新たにしました。

という訳で、この本は謎解きというよりもどちらかというと当時の社会情勢・社会の空気、事件の起きた前後の状況などに詳しくページが割かれています。

また、当時はまともな警察組織(スコットランド・ヤード)というものができてすぐであったこと、疑われたら拷問・暴力の自白強要などは当たり前であったことなども描かれています。

う~んもうね・・・ここまで読んできてみなさん「なにこの重い本・・・重い重すぎる・・・」と思ったと思うんですがね。

この本が読者にもたらしてくれる真実がひとつだけある。

こりゃ切り裂きジャック事件未解決になるわな

っていう圧倒的な説得力ですね。

なぜならば、皆「切り裂きジャックは未解決・犯人もつかまらない・詳しい犯行状況・証拠も少ない」と思っていると思うんですが、この本を読むと完全に納得するんですよ。

注目されたのがうれしくて嘘の証言を吹聴して現場を混乱させる貧しい女

酔っ払いが道で寝てるの当たり前。人が倒れてても酔っ払いだと思って通過する住民

女の商売上、身元顔が定かでない男たちばかり。どこで何をしていたのかすら状況不明

現状維持などの認識がなく、現場荒らされ放題

こんな状況が明らかになるわけです。

さらに「未解決になった」というときたいていの人の頭にあるのは「まともに機能する警察が存在している」という前提でものをいっていると思うんですが、まずその警察自体が存在しているかどうかも危うい時代だったのです、当時のヴィクトリア時代の警察機構は。

さらにそんな劣悪な状況をあざ笑うかのようになんども警察を煽るふざけた手紙を送りつけてくる切り裂きジャック。完全に殺人を舐めプにかかってるんですよ。

これは切り裂きジャック本人の資質の問題も大きいと思いますが、それだけ当時の警察の動きが鈍重で、迅速さに欠けていた、ということも同時に表しています。

この本あれこれ写真とか載ってるんですけどそれがまた怖いんですよ。ネットでいうと完全に閲覧禁止レベル。

この本は心臓の弱い人は注意ですよ。

 

決定版 切り裂きジャック まとめ

決定版 切り裂きジャック (ちくま文庫)

この本は、おどろおどろしい一面、残虐さといった猟奇趣味に傾いた本ではなく、なぜこんな事件が起きるに至ったのか、時代背景、社会状況を深く探求することによりこの事件の構造を考えるというある意味事件の本質を探ろうと努めている本です。

この非常にざっとした私のまとめでも触れたのですが、この事件が未解決になった背景には、現代の保安状況とは全く異なる観点でみなければいけない点がはっきりと描写されており、圧倒的な貧困地域で起きたことによる、数々の不運なめぐりあわせがあります。

警察官の現状保存の知識が皆無で現場が荒れ放題で証拠がない

警察官は嫌われており単独パトロールの際は暴行されることも。住民が非協力的

善意の証言者が少ない(皆酔っぱらうか生活で精一杯で人のことに関心がない)

虚言癖のある人間の嘘の証言などで振り回される

被害者と関わりを持った客たちの身分把握が難しい

決めつけ捜査当たり前。自白の強要で警察が暴行当たり前の劣悪な捜査状況

 

警察相手に舐めプするような犯人です。こうした個人特定や把握の難しい、雑多な土地柄・風土・時代背景を考慮に入れなかったとは思えません。

完全にこれを考慮の上でこの地域で犯行を重ねていたでしょう。この町の住人は貧しく、その日暮らしと辛さを紛らわす酒で精いっぱいです。

 

ある意味、他人にそこまで深く関心や執着を持ち、なにかを行おうとする人間はいなかったはずです。つまりイーストエンドの住民たちとは階層の違う人間だった可能性が高い。

前記事でも書きましたが、犯人は理髪師のアーロン・コスミンスキーという可能性が指摘されていますが未だ真相は不明です。

(この経緯については前記事に詳しく書いています→切り裂きジャックの正体は別に判明してない。世紀の謎は未だ闇のまま

↓こちらの本はDNA鑑定の経緯を書いた本のようです

 

未解決であるがゆえのモチーフ化。切り裂きジャックは悪のアイコンである

 

でも切り裂きジャックってジョジョの一部でもこんな感じで出てくるでしょ?

(ジャックの正体に関しての記事はこっちで書いてます)

FGOでもこんな感じで出てるでしょ?

Fate/Grand Order サーヴァントフィギュア アサシン/ジャック・ザ・リッパー

古今東西、この切り裂きジャックという未解決事件の犯人はありとあらゆる小説・映画・漫画などのモチーフにされているわけで。

FGOのジャックなんかは外国人からするとまさにこれ↓だと思うんですが

未解決であるがゆえの偶像化・アイコン化という要素が非常に大きいと思います。

やったことはただか弱い、貧しい何も持たず、女一人で自分の身一つで精いっぱい生きていた女性を無残に傷つけたことだけ。

もし切り裂きジャックがきちんと逮捕されていたならばここまで後世に存在が残ったかどうかは疑わしい。

切り裂きジャックが重ねてきた犯罪の内容で記憶されているのではなく

どこのだれかわからない

見られたことすらもない

犯罪目的・動機が不明

突然ぱたりと犯行が止んだのはなぜか(犯人死亡?飽きた?目的を達した?)

ことなど謎が多く創作でいう「ジョン・ドゥ*」的な存在であることが切り裂きジャックがこうしたさまざまな創作のモチーフになっていることの理由だと思います。

*ジョン・ドゥ

  1. 日本語の名無しの権兵衛に相当する英語(John Doe)。同様の語にジョン・スミス(John Smith)がある。
  2. 1から派生して、身元不明の男性の死体を指す隠語。女性ならジェーン・ドゥ。
  3. 名無しの権兵衛ということで多数の創作作品の中で名前が使われている。 引用:ニコニコ大百科

 

いわば「切り裂きジャック」の顔・外見・属性はすべてフリー素材のようなもの。創作者の想像に大きく委ねられており、先に紹介したFGOのジャックなどはその好例と言えます。

世間的なイメージはやはり男・中年・女性を憎んでいる ということから性別は男性という縛りはあるにしろ、謎が多いことから推理小説でも彼をモチーフにした作品は数多く国内外を問わず多いのです。

https://twitter.com/Trip_Rapid/status/1203987709909274627

余談ですが、当ブログで一番見られているのは未解決事件を扱った記事です。

「分からない」ということが最も人の関心を引き付けるということがよくわかります。

それは古今東西の作家・監督を異常に引き付けます。その引力に取りつかれた「リッパロロジスト」がかの有名な推理作家「パトリシア・コーンウェル」です。

次記事では彼女が書いた本「真相」がどれだけヤバいか、ということに関してようやく本筋に入ろうと思います。

「黒執事」は同時期のヴィクトリア朝が舞台です。

 

【切り裂きジャック関連】

 

「決定版 切り裂きジャック」の著者 仁賀克雄氏の著作。

ちょっと古いですが、エラリー・クイーン著の「ホームズ対ジャック」をテーマにしたパスティーシュ(オマージュ)作品。

著者が手に入れたという被害者のショール(真偽不明)を最新の科学技術で分析する経緯の本

🐾前記事🐾

コスミンスキーが浮上した経緯・鑑定の内容についてなどの流れについて詳しく書いてます。
切り裂きジャックの正体は別に判明してない。世紀の謎は未だ闇のまま

 


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