「アリータ・バトルエンジェル」は銃夢ファンじゃなくても楽しめる爽快バトルアクション

 

「アリータ・バトルエンジェル」吹き替え版を見てきました。

 

アート&メイキング・オブ・アリータ:バトル・エンジェル

アート&メイキング・オブ・アリータ:バトル・エンジェル

 

この映画、映画好きの方なら予告編などでCMを見たことがあるかもしれません。

 

 

一度映画を見たあと、改めて予告編を見てみたのですが、とてもいい映画なのにこの映画のよさが伝わりにくいなあ、と率直に思いました。

上の予告を見た方、どう思いました?

アクションものなのか

バトルものなのか

近未来ものなのか

アンドロイドの女の子が無双ものなのか

いまひとつこの映画のジャンルが分かりづらいと思うんですよ。

 

予告を見たとき、日本のコミックス「銃夢」を下敷きにしているということと、ジェームズ・キャメロン監督制作ということが強く印象に残りはしたのですが、そのときも「ジャンルは・・・?」という気持ちになりました。

同じように感じて迷っている方がいたら、ぜひ見てみてほしいです。そういう印象を持っていた人間がこの映画を見て、どう感じたかをこれからまとめていきますので。

 

アリータがかわいいくて愛おしい。アンドロイドだけど愛くるしい。

https://twitter.com/_BladeRunner_/status/1101038720935817216

アリータは空にいる上級国民がごみを投げ捨てる場所で、アンドロイドを治す医師「イド」に拾われました。

そのとき、体がアンドロイドのアリータは手足がなく、顔とからだだけで、イドによってボディを作られアンドロイドの女の子として蘇りました。

目覚めたアリータは過去のすべての記憶を失っており、自分の名前も過去もまったく思い出せないのでした。

そんなアリータにイドはやさしく語りかけ、いろいろなことを父親のように教え、守ってくれます。

アリータの容貌は目がとても大きく、非常に表情豊かです。体はアンドロイドのボディなので腕や指に機械特有のつなぎ目も見えますが無条件にかわいいのです。

アリータはなにもしらない幼子のような状態で、目にしたものすべてを子供のように柔軟に吸収していくのですが、知らないことを知った時の輝くような表情、小さな生き物におくる優しい目線、それらはすべて若さ特有のはじけるような魅力に溢れており、アンドロイドだなんてとても思えません。

のちにアリータは同じ町で暮らす青年ヒューゴと出会い、お互い好意を持つことになるのですが、彼もまたアリータに対して映画を見ている側のような感情を抱くのです。

チョコレートを初めてかじったときの驚いたような顔。くるくる変わる豊かな表情。ただのかわいい女の子ではなくて、闘志も負けん気も持ち合わせている活発さ。

まずアリータがかわいい、とヒューゴの目線で見ている側は感じ、それとともにアリータの育ての親のイドの父親目線で「この娘がなにかひどいことに巻き込まれなければ良いが」とハラハラする気持ちを抱く。

序盤は輝くようなアリータの魅力、その描写でまずこの映画の世界に引き込まれます。

 

人間とは清濁併せ持つ生き物。イドの過去とアリータに隠した闇の稼業

アリータを再び生きた存在にしてくれた第二の父親、イド。彼は体のパーツがアンドロイドのひとびとの治療を行い、金のない人間からはりんごやオレンジを受け取り、金をとろうとしない実直で生真面目な医師。

ところが、そのイドにはアリータに隠している稼業があった。夜毎にアリータの目を盗んで出ていくイドと、相次ぐ若い女性の通り魔事件。

もしやイドは闇の殺人医者!?後をつけたアリータは思いがけないイドの稼業を知ることになり、それがのちのアリータの運命を大きく左右することになるのだった。

このあたりは詳しく書くと面白さを損なうので書きませんが、イドはアンドロイドによって娘を殺された過去があり、その娘の名は「アリータ」

つまり、アリータの体はこの娘のために作られた、イドの娘のものだったのです。

この描写の部分、イドはただの人格者でも聖職者でもなく、自身の過去に苦しみ、過去を克服しようとあがくひとりの男性であったことが明かされます。

お金だってりんごやオレンジだけでは生活だってできないし、医療を行うには膨大なお金が掛かる。人格者のイドといえど、霞を食って生活できるわけではない。

このあたり、とてもリアルだと感じました。人間は必ず清濁併せ持った生き物であること、理想論だけでは生活していけないこと、日々のパンにすら欠くようになっては、何ごとも行えない。

そうしてイドは娘として「アリータ」がいる。いわばこの稼業はアリータを養うため、という理由も加わり、イドの「闇の稼業」は現代のサラリーマンのありかたにも繋がります。

 

恋のためにすべてを譲り渡してはいけない。恋のために戦いを始めるアリータ

恋に落ちたアリータとヒューゴ。彼はクズ鉄の町から抜け出し、上級国民のすまう天上の国に行こうと足掻いています。

そのため、町の権力者ベクターと顔を繋ぎ、危ういアンドロイドパーツ泥棒に手を染めてまで金を貯めている。

彼はそのことをアリータに隠したまま、上に行くことを望んでいます。そのためには莫大な金が必要となるが、街で行われている公営スポーツ「モーターボール」で優勝すればその願いが叶うかもしれない。

周囲の反対を押しきってアリータはその大会に名乗りを上げる。このあたり、まだアリータは「恋する乙女」なのです。

彼のためなら何でもしてあげたい。あげられるものならばなんでも差し出したい。そんな無垢な気持ちの表れとして、彼に自分の機械の心臓を差し出そうとする。

この心臓はあくまでもメタファーで、要は人間でいう「私の心をあげる」ということなのですね。

実際、彼女の心臓は非常な価値を持つ部品であり、それを奪うため、町の権力者ベクターは血眼になって彼女を殺そうとしている。

ヒューゴはそれを受け取らない。「すべてを捧げてはいけない、たとえ愛する人間にでも」という意味の言葉をいい、彼女の心を受け取りません。

これは若い女性にぜひとも心に刻んでもらいいたい言葉だと思いました。たとえ愛していて、自分の持っているものすべてをあげたい、なんでもしてあげたい、と思っていても、それは自分の自我を手放す行為であり、アリータのように「心臓」を捧げているに等しい。

いくら愛していても、自我をささげてはいけない。そんなメッセージ性が伝わります。

 

「ひとのために」自分を捨てるか、それとも自分を「取り戻すか」というメッセージ性

アリータはイドと同じ闇の稼業を行うことを選択します。ところが、アリータの卓越した運動能力には現在のからだは付いてこれません。

そんな中、アリータは過去の対戦で廃船となった宇宙船のなかから、自分のものである「本来のボディ」を見つけることになります。

アリータの前身は、300年前の大戦で戦争を戦っていたアンドロイド戦士だったのです。おそらく最初のシーンでイドに見つけられた時点では戦えなくなり、体も壊れ、用済みになってゴミ捨て場にゴミのように廃棄されていたのでしょう。

そんななか、イドに見いだされ、父親のように愛情を注がれ、ヒューゴという恋人もできた。

それなのに、アリータのなかに潜んだ「戦士の血」は戦いと格闘を求め、いまの「ふつうのからだ」ではダメだと訴えかけてきます。

このシーンにも大きなメッセージ性が潜んでいると思いましたね。

当然、イドはそれに反対するし、格闘に特化した戦士のボディをアリータに付けることを拒絶します。

それはアリータに危険なことに関わってもらいたくない、というイドの親心からきている言動で、それが「彼女のため」になると彼は信じているからです。

あくまでも自分の本分に従い、自分に正直に生きていくか。それとも、安らぎと愛情の生活を壊さないよう、自分の本能にフタをして生きていく、そのどちらを選ぶか。

現代の人間が生きていく上での大きな選択を問われたとき、果たしてどちらを選ぶのが幸福なのか。

私の場合は、たぶん「イドに悪いから、イドを心配させたくないから」とフタをしてしまうと思う。それを悲しいとも思わず、多分イドとヒューゴのくれる愛情に安住してしまいそうな気がする。

見る側も同じような選択を問われたとき、どうするかと考えさせられるシーンだと思いましたね。女性は「自分を秘めて生きていくのが幸せか」それとも「自分の心の赴くまま、野性的に生きていくのが幸せか」そんな問いかけをされているように思いました。

 

少女が屈強な男たちをなぎ倒す。「アリータ無双」が爽快すぎる

ここまでのアリータまわりの人間関係、彼女をとりまく環境の積み重ねがあって初めて「アリータ無双」が炸裂し、爽快さを加速させます。

屑鉄の山から拾われた何もしらない無垢な少女が父親と親の愛を得、愛する男性を得る。愛に囲まれて平穏に生きていくことを選ばず、自分の本能が命じる気持ちに忠実に生きていくことを選択し、自らの意志で戦うことを選ぶ。

https://twitter.com/AlitaMovieJP/status/1092618816314499072

 

彼女は戦闘兵士だったので卓越した身体能力と格闘術を身に着けている。それが「真のボディ」を得たことで水を得た魚のように輝きだす。

屈強な男たちを鳥のように舞いながら蹴り倒す。彼女を付け狙う改造人間男にも怯まず戦いを挑む。

暴力、殺しなんでもありな無法スポーツ「モーターボール」に参戦し、街のお尋ねものたちをなぎ倒す。

https://twitter.com/AlitaMovieJP/status/1094566652065140737

重機を思わせる体をもつ改造人間たちにも一切怯むことなく、か細い女性のしなやかな体がそれを破壊し、超越していくさまは、見ていてほんとうにハラハラもさせられますが、実に爽快です。

娘を持つ親御さんならばイドの気持ちになって娘の成長と巣立ちを眺めている父親の気持ちになりますし、終始貫かれているアリータの凛々しさが実にかっこいい。

「親子とは」「自分を貫くとは」について自分の問題について考えさせられますし、ただアクションを見たい、スカッとしたい、という方にも向いています。

私はイドの吹き替えをしている声優さんのファンなので吹き替え版を見に行ってきましたが、とても良かったですので吹き替えのほうをお勧めしておきます。

 

https://twitter.com/B_Flyend/status/1101121005357916160

原作になった日本の漫画「銃夢」は現在も連載しているようで、雑誌で読めるようです。

一巻はキンドル試し読みもしているみたいなので「アリータ」が面白かった方はこちらも見てみるのも良いかも。

 

↓銃夢 一巻キンドルで無料試し読み中。


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