「アリータ・バトルエンジェル」吹き替え版を見てきました。
この映画、映画好きの方なら予告編などでCMを見たことがあるかもしれません。
一度映画を見たあと、改めて予告編を見てみたのですが、とてもいい映画なのにこの映画のよさが伝わりにくいなあ、と率直に思いました。
上の予告を見た方、どう思いました?
アクションものなのか
バトルものなのか
近未来ものなのか
アンドロイドの女の子が無双ものなのか
いまひとつこの映画のジャンルが分かりづらいと思うんですよ。
予告を見たとき、日本のコミックス「銃夢」を下敷きにしているということと、ジェームズ・キャメロン監督制作ということが強く印象に残りはしたのですが、そのときも「ジャンルは・・・?」という気持ちになりました。
同じように感じて迷っている方がいたら、ぜひ見てみてほしいです。そういう印象を持っていた人間がこの映画を見て、どう感じたかをこれからまとめていきますので。
朝からTOHOシネマズLINEが送ってきた画像「アリータ」と「翔んで埼玉」が同じ構図で面白い。 pic.twitter.com/hTbtRT1fTG
— とよさんぽ (@toyo_3po) March 1, 2019
目次
アリータがかわいいくて愛おしい。アンドロイドだけど愛くるしい。
https://twitter.com/_BladeRunner_/status/1101038720935817216
アリータは空にいる上級国民がごみを投げ捨てる場所で、アンドロイドを治す医師「イド」に拾われました。
そのとき、体がアンドロイドのアリータは手足がなく、顔とからだだけで、イドによってボディを作られアンドロイドの女の子として蘇りました。
目覚めたアリータは過去のすべての記憶を失っており、自分の名前も過去もまったく思い出せないのでした。
そんなアリータにイドはやさしく語りかけ、いろいろなことを父親のように教え、守ってくれます。
『アリータ:バトル・エンジェル』面白かった!スクラップ置き場で拾われた少女アリータが戦士に目覚めていく姿を描くアクション映画。アリータがイドという父を得て感情豊かに育っていく姿が良い!感情があるから最後の涙に意味があるし泣けるのだ https://t.co/dysXffC8So
— toe@とにかく映画が好きなんです (@pharmacy_toe) February 27, 2019
アリータの容貌は目がとても大きく、非常に表情豊かです。体はアンドロイドのボディなので腕や指に機械特有のつなぎ目も見えますが無条件にかわいいのです。
アリータはなにもしらない幼子のような状態で、目にしたものすべてを子供のように柔軟に吸収していくのですが、知らないことを知った時の輝くような表情、小さな生き物におくる優しい目線、それらはすべて若さ特有のはじけるような魅力に溢れており、アンドロイドだなんてとても思えません。
アリータ見る前「目デカすぎ無理」
見た後「アリータかわいい」 pic.twitter.com/R6Q9PV5eKY— jam (@nicotine5000mg) February 28, 2019
のちにアリータは同じ町で暮らす青年ヒューゴと出会い、お互い好意を持つことになるのですが、彼もまたアリータに対して映画を見ている側のような感情を抱くのです。
チョコレートを初めてかじったときの驚いたような顔。くるくる変わる豊かな表情。ただのかわいい女の子ではなくて、闘志も負けん気も持ち合わせている活発さ。
とりあえずアリータの二回目を観たんだけど、観れば観るほどにどんどん好きになる
可愛すぎるよ pic.twitter.com/7NDEKtdJeh— カルメン@オーイェーズ (@karumem) February 25, 2019
まずアリータがかわいい、とヒューゴの目線で見ている側は感じ、それとともにアリータの育ての親のイドの父親目線で「この娘がなにかひどいことに巻き込まれなければ良いが」とハラハラする気持ちを抱く。
序盤は輝くようなアリータの魅力、その描写でまずこの映画の世界に引き込まれます。
『アリータ:バトル・エンジェル』。どうやら北米公開から2週で世界興収300億円、日本マンガ原作の映画ではもちろん史上最高額で、先週末の興収は世界トップという事態になっているらしい。いやすごい。とにかくおめでとう!
https://t.co/WvIVNxnUqB— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) February 28, 2019
人間とは清濁併せ持つ生き物。イドの過去とアリータに隠した闇の稼業
Dr.イドを演じるクリストフ・ヴァルツはさすが。設定的に『ジャンゴ 繋がれざる者』の胸アツキャラDr.シュルツと被るところが印象的で、やはりこの人は悪役も良いが、こういった演技も最高だなぁと。
原作はもう少し複雑な設定みたいですが、アリータとの擬似的な父子関係は感動的でした。#アリータ pic.twitter.com/0h7VIdQ3Kw— 伝説ワシントン (@dense2_denzel) February 28, 2019
アリータを再び生きた存在にしてくれた第二の父親、イド。彼は体のパーツがアンドロイドのひとびとの治療を行い、金のない人間からはりんごやオレンジを受け取り、金をとろうとしない実直で生真面目な医師。
ところが、そのイドにはアリータに隠している稼業があった。夜毎にアリータの目を盗んで出ていくイドと、相次ぐ若い女性の通り魔事件。
もしやイドは闇の殺人医者!?後をつけたアリータは思いがけないイドの稼業を知ることになり、それがのちのアリータの運命を大きく左右することになるのだった。
このあたりは詳しく書くと面白さを損なうので書きませんが、イドはアンドロイドによって娘を殺された過去があり、その娘の名は「アリータ」
つまり、アリータの体はこの娘のために作られた、イドの娘のものだったのです。
この描写の部分、イドはただの人格者でも聖職者でもなく、自身の過去に苦しみ、過去を克服しようとあがくひとりの男性であったことが明かされます。
♯アリータ この手のジャンルはあまり見ない私でも期待以上の出来だったな。アリータの人間っぽく成長する姿とイドとの父子の愛が心に迫った。こんなに優しい表情のヴァルツは初めて(スペクターの憎々しさもおとなのけんかのワークホリック夫もよかったけど)とにかくヴァルツは偉大だーー。
— まーち (@redblueha) March 2, 2019
お金だってりんごやオレンジだけでは生活だってできないし、医療を行うには膨大なお金が掛かる。人格者のイドといえど、霞を食って生活できるわけではない。
このあたり、とてもリアルだと感じました。人間は必ず清濁併せ持った生き物であること、理想論だけでは生活していけないこと、日々のパンにすら欠くようになっては、何ごとも行えない。
そうしてイドは娘として「アリータ」がいる。いわばこの稼業はアリータを養うため、という理由も加わり、イドの「闇の稼業」は現代のサラリーマンのありかたにも繋がります。
『アリータ:バトル・エンジェル』イド役クリストフ・ヴァルツインタビュー:アカデミー賞に2度輝いた名優の役の選び方 https://t.co/9ZQjnjTBMX pic.twitter.com/yOResDnEty
— IGN Japan (@IGNJapan) February 23, 2019
恋のためにすべてを譲り渡してはいけない。恋のために戦いを始めるアリータ
ヒューゴがアリータの手を握りながら「君の手に見惚れてたよ。もう少し見ていい?」という場面。
なんか単調で恥ずかしいセリフだなと普通は気持ちが離れそうになるところが、アリータは観客に”確かにこの手は一度触ってみたい”と思わせる映像の説得力が半端ではなくヒューゴと完全にシンクロできる。 pic.twitter.com/e4iqdq2CEN
— FUU (@STAPLATINUM) February 23, 2019
恋に落ちたアリータとヒューゴ。彼はクズ鉄の町から抜け出し、上級国民のすまう天上の国に行こうと足掻いています。
そのため、町の権力者ベクターと顔を繋ぎ、危ういアンドロイドパーツ泥棒に手を染めてまで金を貯めている。
『アリータ』、思ったのがヒューゴ(キーン・ジョンソン)みたいな筋肉バランスは半袖Tシャツも映えて最高だなと。僧帽筋のバランスが良い pic.twitter.com/ZrMsTXnTSg
— Joshua/ジョシュア (@JOSHUA_movie) February 24, 2019
彼はそのことをアリータに隠したまま、上に行くことを望んでいます。そのためには莫大な金が必要となるが、街で行われている公営スポーツ「モーターボール」で優勝すればその願いが叶うかもしれない。
周囲の反対を押しきってアリータはその大会に名乗りを上げる。このあたり、まだアリータは「恋する乙女」なのです。
彼のためなら何でもしてあげたい。あげられるものならばなんでも差し出したい。そんな無垢な気持ちの表れとして、彼に自分の機械の心臓を差し出そうとする。
原作『銃夢』の「私はこの心臓を賭けるわ!!」をラブストーリーの一場面に置換しているあたり、やはりジェームズ・キャメロンは超ロマンチストだと思う。>『アリータ:バトル・エンジェル』 pic.twitter.com/JF8RbcsAwd
— kirockyou (@kirockyou) February 23, 2019
この心臓はあくまでもメタファーで、要は人間でいう「私の心をあげる」ということなのですね。
実際、彼女の心臓は非常な価値を持つ部品であり、それを奪うため、町の権力者ベクターは血眼になって彼女を殺そうとしている。
「これを売ればいいお金になるから」って自分の心臓を差し出して彼氏どん引きさせるアリータさんは多分重い女。
— kazki (@SIRK_DOL) March 3, 2019
ヒューゴはそれを受け取らない。「すべてを捧げてはいけない、たとえ愛する人間にでも」という意味の言葉をいい、彼女の心を受け取りません。
これは若い女性にぜひとも心に刻んでもらいいたい言葉だと思いました。たとえ愛していて、自分の持っているものすべてをあげたい、なんでもしてあげたい、と思っていても、それは自分の自我を手放す行為であり、アリータのように「心臓」を捧げているに等しい。
#アリータ「私はこの心臓《ハート》を捧げるわ❣」#バレンタインデー #アリータ降臨 pic.twitter.com/ouoWYin1Og
— 映画『アリータ:バトル・エンジェル』公式 (@AlitaMovieJP) February 13, 2019
いくら愛していても、自我をささげてはいけない。そんなメッセージ性が伝わります。
「ひとのために」自分を捨てるか、それとも自分を「取り戻すか」というメッセージ性
【洋書・新刊】映画『アリータ』のノベライズ版が入荷。木城ゆきと氏の漫画『銃夢』が原作。瓦礫の中から拾われ蘇ったサイボーグの少女。“アリータ”と名付けられ父親代わりのイドに見守られて成長するがある日、自分は“最強の兵器”だということに気付いてしまう。#アリータ #alita pic.twitter.com/xyoonsshbE
— 紀伊國屋書店梅田本店 (@KinoUmeda) March 3, 2019
アリータはイドと同じ闇の稼業を行うことを選択します。ところが、アリータの卓越した運動能力には現在のからだは付いてこれません。
そんな中、アリータは過去の対戦で廃船となった宇宙船のなかから、自分のものである「本来のボディ」を見つけることになります。
『アリータ:バトル・エンジェル』でもう一つ感動したのがモーションでサイボーグ表現を突き詰めてるってとこ。「機械のような正確さ」っていうのを、血の通ってない冷たい表現にするんじゃなくて「めちゃくちゃ制御上手い人が動かしてる機械の動きは美しい」ってレベルまで持っていってるのがスゲえ pic.twitter.com/XTZJZRVGYu
— 鉄面あなざ (@Gadjetmovie) February 24, 2019
アリータの前身は、300年前の大戦で戦争を戦っていたアンドロイド戦士だったのです。おそらく最初のシーンでイドに見つけられた時点では戦えなくなり、体も壊れ、用済みになってゴミ捨て場にゴミのように廃棄されていたのでしょう。
そんななか、イドに見いだされ、父親のように愛情を注がれ、ヒューゴという恋人もできた。
それなのに、アリータのなかに潜んだ「戦士の血」は戦いと格闘を求め、いまの「ふつうのからだ」ではダメだと訴えかけてきます。
このシーンにも大きなメッセージ性が潜んでいると思いましたね。
当然、イドはそれに反対するし、格闘に特化した戦士のボディをアリータに付けることを拒絶します。
それはアリータに危険なことに関わってもらいたくない、というイドの親心からきている言動で、それが「彼女のため」になると彼は信じているからです。
凄く寂しかった。自分の手から子供が巣立つってのはこういうことかって思った。
でも手離れしたって親は親のままで、ずっと全力でサポートするんだよ。俺も現実では未体験だけど、凄く理解できたし、リンクした。— 晴 (@hal_ns) March 1, 2019
あくまでも自分の本分に従い、自分に正直に生きていくか。それとも、安らぎと愛情の生活を壊さないよう、自分の本能にフタをして生きていく、そのどちらを選ぶか。
現代の人間が生きていく上での大きな選択を問われたとき、果たしてどちらを選ぶのが幸福なのか。
私の場合は、たぶん「イドに悪いから、イドを心配させたくないから」とフタをしてしまうと思う。それを悲しいとも思わず、多分イドとヒューゴのくれる愛情に安住してしまいそうな気がする。
「アリータバトルエンジェル」アリータの服装の変化から、彼女の精神が短期間で一気に成長することが読み取れる。前半は恐らくイド先生のお家に元々あった服着てるし、自我が強くなると共に自分で服を選ぶようになり、そして決定的な転機に姿形から大人となる、そんな演出の必然性が気持ちよかった。 pic.twitter.com/Y74JsWNKTM
— たぬきさん (@tada11110) February 27, 2019
見る側も同じような選択を問われたとき、どうするかと考えさせられるシーンだと思いましたね。女性は「自分を秘めて生きていくのが幸せか」それとも「自分の心の赴くまま、野性的に生きていくのが幸せか」そんな問いかけをされているように思いました。
イドの「娘」アリータに対する愛の物語でもあったな。親の愛が束縛になり、でも娘の人生は娘のものだから、戦士のボディを与えて送り出す。
『アリータ:バトル・エンジェル』なぜ世界的なヒットに? 原作を解釈し直した“愛の物語” https://t.co/bYBSfmhn2X @realsound_mから
— Dilettantist (@86C805i) March 3, 2019
少女が屈強な男たちをなぎ倒す。「アリータ無双」が爽快すぎる
#アリータ 鑑賞
アリータの最強無双アクション、キャメロン印の圧倒的映像美、ロドリゲス監督らしい酒場での大乱闘。映像面はもちろん、予想外にしっかりと構築されたストーリーに没入。人間よりも人間らしく、好奇心旺盛、エモーショナルな行動を見せるアリータが魅力的でした。#アリータ降臨 pic.twitter.com/AOQo37FDRy— Jing- Fu (@JingFu81) March 3, 2019
ここまでのアリータまわりの人間関係、彼女をとりまく環境の積み重ねがあって初めて「アリータ無双」が炸裂し、爽快さを加速させます。
アリータ期待値より全然良かった…言われていたストーリーも原作知らないから普通に面白かったしアリータ無双で最高のストレス解消映画
— ペッパーの禍ツ機 (@tw0tenjack11) March 2, 2019
屑鉄の山から拾われた何もしらない無垢な少女が父親と親の愛を得、愛する男性を得る。愛に囲まれて平穏に生きていくことを選ばず、自分の本能が命じる気持ちに忠実に生きていくことを選択し、自らの意志で戦うことを選ぶ。
https://twitter.com/AlitaMovieJP/status/1092618816314499072
彼女は戦闘兵士だったので卓越した身体能力と格闘術を身に着けている。それが「真のボディ」を得たことで水を得た魚のように輝きだす。
屈強な男たちを鳥のように舞いながら蹴り倒す。彼女を付け狙う改造人間男にも怯まず戦いを挑む。
暴力、殺しなんでもありな無法スポーツ「モーターボール」に参戦し、街のお尋ねものたちをなぎ倒す。
https://twitter.com/AlitaMovieJP/status/1094566652065140737
重機を思わせる体をもつ改造人間たちにも一切怯むことなく、か細い女性のしなやかな体がそれを破壊し、超越していくさまは、見ていてほんとうにハラハラもさせられますが、実に爽快です。
アリータは、アリータ無双を愛でる映画。細かい突っ込みどころはあまり気にならなくて、楽しめる。
— び~ぼくん。 (@bby_bokun) February 28, 2019
娘を持つ親御さんならばイドの気持ちになって娘の成長と巣立ちを眺めている父親の気持ちになりますし、終始貫かれているアリータの凛々しさが実にかっこいい。
#アリータ の強さを表現するため、ローサ・サラザールは、撮影の6か月前からトレーニングを開始した。
彼女の特訓成果とWETAデジタルの最新VFXを融合して作り出された機甲術《パンツァークンスト》のビジュアルは必見だ‼#アリータ降臨 pic.twitter.com/tPttktE3hV
— 映画『アリータ:バトル・エンジェル』公式 (@AlitaMovieJP) February 24, 2019
「親子とは」「自分を貫くとは」について自分の問題について考えさせられますし、ただアクションを見たい、スカッとしたい、という方にも向いています。
私はイドの吹き替えをしている声優さんのファンなので吹き替え版を見に行ってきましたが、とても良かったですので吹き替えのほうをお勧めしておきます。
https://twitter.com/B_Flyend/status/1101121005357916160
原作になった日本の漫画「銃夢」は現在も連載しているようで、雑誌で読めるようです。
公開中の映画「ALITA(アリータ)」の原作は、日本のマンガ『銃夢(ガンム)』。
今も連載は続いていますか?という質問をよく受けますが、なんと、最新シリーズを「イブニング」にて連載中なのです!タイトルは『銃夢火星戦記』
(いま6巻まで出てますよ〜) pic.twitter.com/jMkv3lt6qa— 銃夢火星戦記はイブニングで連載中 (@gunnm_tantou) March 1, 2019
一巻はキンドル試し読みもしているみたいなので「アリータ」が面白かった方はこちらも見てみるのも良いかも。
↓銃夢 一巻キンドルで無料試し読み中。