今回北海道を襲った震度7の地震「胆振東部地震」はいまだ余震を繰り返し、北海道に多大な被害をもたらした。
今回は3.11で被災した経験を持つ者として、少しでも防災に役立てばと記事を書いた。
これからの備えに役立てていただければ幸いである。
人間、本当の恐怖を味わったときはぴくりとも動けない
私は3.11当時岩手県沿岸地域の宮古市に住んでいた。これまでもこの地域は深刻な津波に見舞われた地域で、作家吉村昭がこの実際起きた災害を「三陸海岸大津波」という本で詳細に書き著している。
もともと、この辺りの地域の人たちはこれまでの歴史もあり、防災には気を付ける傾向が高かったし、この「三陸海岸~」を読んでいる人も多かった。
しかし、いくら普段から防災の備えがあるからといって、いざ災害が起きてしまうと人間というのは不思議なほどオロオロしてしまうのだ。
要は普段は知識や知性、理性で行動をカバーしている部分が極限状態に置かれると「生きる」ということだけを最優先するスイッチが入るため、パニックになりやすくなる。
そうすると、ただ右往左往するだけで何もできない、という状況に陥りやすい。実際私もそうだった。突然の地震。音を立てて割れていく食器類。もう為すすべもなくただ悲鳴を上げるしかできない。
怖くてどうしようもないのだ。体が固まってしまう。よく学校で「地震が起きたら机の下に潜れ」と教わるが、そんなことはできはしない。
まずそんなことに頭が回らない。どうしたらいいのかも分からない。半パニックである。
人間本当に恐怖を感じたときは体なんてひとつも動かない、ということである。これは覚えておいて損はない。
心配は「電話」で伝える必要なし。却って連絡の妨げになる可能性が
ようやく揺れが収まり、そうすると普通の人間はどういう行動に出るかというと、テレビを付ける。
今自分が置かれている状況を把握したい、という気持ちが働くのだ。しかしテレビはそんなにリアルタイムに情報など流れてこない。せいぜいが緊急テロップで震度や震源地が出るぐらい。
そうして次にどうするかというと、まず家族に電話を掛ける。しかし回線が込み合っていて繋がらない。「ツーツーツー」という無情な音が流れるだけだ。
被災した地域に住んでいる人同士はもちろん、よその地域から安否を心配する電話がじゃんじゃん掛かってくるためだ。
被災地の外部から電話で連絡を取るのを控えるだけでも、被災直後の地域の助けになることは確かだ。
SNSで安否連絡はできる。だからいざという時のために備えておく
大阪地震の時にlineが沢山来る→安否を返信する→時間かかる&スマホの電池減る。
ってのを体験したので今回の台風の時はひと段落付いたらlineのアイコンをこんな感じにしてた。※画像は例
既読付けなくても返信出来なくてもとりあえず安否を伝える事が出来たはず・・よかったら参考にしてください。 pic.twitter.com/7RxK4mhgbo
— nut (@kangaerujikan) September 6, 2018
安否連絡はメールならば良いかというと、被災した側はどんどんいろんな人から問い合わせやらメールが掛かり、電池を消耗してしまう可能性があります。
震災時もそうでしたが、大抵大災害に停電はつきものです。復旧には一週間かそれ以上かかる可能性もあり、そうすると普段当たり前のように充電しているスマホやパソコンも使えなくなる可能性が高いのです。
私の例を挙げると、母親が「津波が来る!津波が来るって!逃げて!」とパニックになって電話してきたのはいいもののその回線を生かし続けていたため、突然電池がなくなってブツリとガラケーの電池が切れてしまいました。
当然スマホも普及していない時期だったので、連絡手段が途絶えてしまい、親戚はじめ友人、身内などに一切連絡がとれなくなってしまい、あらゆる人に大変な心配をかけてしまいました。
上記のような例が、よかれと思って被災者の足を引っ張ったパターンです。
被災地の外の人間が一時の感情でした「心配」や「安否確認」が被災側の連絡手段を奪い、もっと取り返しのつかない事態を招くことになる、というまでは掛ける側には想像がつきません。
スマホもガラケーも当たり前のように充電できる立場では、電気がない場所ではその二つが命を救うといってもいいライフラインになっていることもわかりません。
身内だから心配になるのも分かります。状況をずっと知りたいと思うのもわかります。非常に家族の状況が心配で居てもたってもいられない。
せめて声だけでも聴きたいなら、掛けて無事を確認したら自分から速やかに電話を切ってあげてください。貴重な連絡手段が消耗するのは相手の負担でしかありません。
上記のツイートでもご紹介しましたが、SNSのアイコン、画像などを上のような画像にし、問い合わせはこちらから電話を掛けるから、ということをわかってもらう必要があります。
「心配」はすぐ伝えるだけが誠意ではありません。むしろ被害にあった側はそれよりも「生きること」「電気も水道も止まった環境でサバイバル」することのほうに忙しいです。