犬になめられ足を切断!?恐怖のウィルス「カプノサイトファーガ」を過度に恐れるな

先日、テレビを見ていたら海外ニュースで「犬に舐められたことが原因で手足を切断するとことになった」という男性の話が取り上げられていた。

平たく言うと、この男性が感染したウィルスは犬や猫の口の中にいる「カプノサイトファーガ・カニモルサス」というウィルスだ。ラテン語で「犬に噛まれる」という意味を持つウィルスだ。

「犬に舐められて?誰でもそんなの舐められてるよね?」という疑問がまず沸いてくる。誰しも犬や猫を飼っていれば、そのペットにペロペロ舐められるという経験はあるかと思う。ない人のほうが珍しいだろう。

すべての人が「舐められると必ずカプノサイトファーガを発症」するわけではない。もしそれが頻発するケースだとしたら世の中誰も犬猫を飼わないだろうし、犬も猫も「恐怖の生き物」として忌避されているはずだ。

しかし現実はそうではない。珍しいから、ごく少数だから「舐められただけで?」とセンセーショナルにこうしたニュースとして取り上げられるのだ。

しかし現実問題、このウィルスに感染した人は少数だが存在する。そのあたり「過度に怖がる必要はない」ということをこの記事を通して言いたいと思う。

 

カプノサイトファーガにかかった男性の体験談

全身が血で覆われているみたいだったよ            (10年前カプノサイトファーガに掛かった男性)

男性は愛犬と遊んだ二日後に体調が急変した。

最初はインフルエンザのような症状で吐き気が止まらなかったよ。そこから半日経って起きた後も気分が悪くて、自分の体を見ると傷だらけだったんだ。(上記の男性談)
専門家によるとカプノサイトに感染し「壊死するまで症状が悪化するのは稀」という。
また、あるウィスコンシン州の男性は、 犬の唾液中の細菌によって引き起こされるまれな血液感染症を発症した後、下肢と手を切断した。

患者は、発熱や嘔吐などのインフルエンザ様症状を最初に発症した。 翌朝までに、彼の体温は急上昇し、 彼の妻が病院に駆けつけたとき、彼は野球のバットで殴られたかのように、彼の体が傷で覆われていることに気が付いた。

 

「四肢切断をしなければならなかった理由」と「傷だらけの体」の謎とは

医師は、ほとんどの健康な犬の唾液によく見られ、通常はヒトに有害でないカプノサイト・カニモルサスによって引き起こされるまれな血液感染症と診断した。

しかし、上記の患者の場合、細菌が血流に入り、 敗血症を誘発してしまった。 彼の体の傷は、実際には敗血症によって引き起こされた斑点だったのだ。

患者には感染症と戦うための抗生物質が投与されたが

DIC本来出血箇所のみで生じるべき血液凝固反応が、全身の血管内で無秩序に起こる症候群)が起きており、凝血塊が彼の四肢への血流を妨げ、組織や筋肉の死を引き起こすため、足と手を切断する必要があったのだ。

ソース☟(英語サイト)

https://www.infectiousdiseaseadvisor.com/sepsis/dogs-saliva-bacterial-infection-amputations/article/785420/

Dog’s Saliva Caused Capnocytophaga Infection Leading to Amputations
「犬の唾液は、切断に至る絨毛膜炎を引き起こした」より

カプノサイトファーガの症状と感染の現状

【潜伏期間】1~8日。通常2日目に現れる

【症状】軽度のインフルエンザ様症状 劇症性敗血症。 発熱、嘔吐、下痢、倦怠感 、腹痛、筋肉痛、呼吸困難 、頭痛、発疹など。心内膜炎 、DIC本来出血箇所のみで生じるべき血液凝固反応が、全身の血管内で無秩序に起こる症候群)および髄膜炎。

 

カプノサイトファーガ・カニモルサスの症例は全世界中200例である

前述の男性二人の体験は、犬に噛まれたり傷口を舐められたことによりカプノサイトに感染したことが原因だが、実際のところこのケースを含めアメリカではどれくらいの人がこの「カプノサイトファーガ・カニモルサス」で死亡しているのか。

オックスフォード・アカデミックの研究によると

アメリカ国内一億人に対して死亡に至る感染者は6名

と発表されている。どうだろうか。上記にも医師が「まれな血液感染症」と判断したと出ていたが、この数字を見ると「まれ」の理由がよく分かると思う。

Millions of people are bitten by dogs every year, but only 5%–10% of dog bites become infected. The overall mortality of such infections is around 6 deaths out of 100 million population annually in the United States

(この感染症の全体的な死亡率は、アメリカ合衆国の1億の住民のうち6人です)

引用元:OXFORD akademic
Escape from Immune Surveillance by Capnocytophaga canimorsus
(カプノサイトファーガ・カニモルサスによる免疫監視機能のすり抜けについて)

 

日本での発生事例を見ると「危険因子」が見えてくる

上記では「カプノファーガ・カニモルサス」がアメリカでの発症が一億人中6人、世界で症例が200例の稀な感染症であることが分かった。では日本の場合はどうなのか。

以下は、厚生労働省「カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症に関するQ&A

に掲載されている「カプノサイトファーガ」に感染した患者の年齢、状況を示した図である。

年齢の欄を見た方は気が付いたことと思うが、ほぼ全員が高齢者と呼ばれる年齢だ。

画像引用元:厚生労働省「カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症に関するQ&A」より

日本国内では2002年から2015年に14件の死亡例が確認されている  (国立感染症研究所 鈴木道雄主任研究官 談)      
日本国内の感染死亡者の一例を紹介すると、ある50代の男性は、愛犬に噛まれて出来た一センチにも満たない小さな傷から感染し、その後死亡した。
この菌は猫の5割以上にもいることが確認できています       (国立感染症研究所 鈴木道雄主任研究官 談)
猫がグルーミングをする際に爪を舐め、口の中の菌が爪に付着。それで引っかくことによって感染する。ソース:2018年8月8日放映「あさチャン!」

 

患者の最高齢が90歳の女性、最も若い患者は40代。2002年から2009年までの全患者14名のうち6名が亡くなっており、死亡率は43パーセント。敗血症を発症した患者はほとんど亡くなっている。

 

感染を発症するリスク危険因子とは

次に気になるのが「どうすればこの病気を防げるのか」という点だと思う。この章ではリスク危険因子を紹介する。

高齢者(50歳以上)
獣医師、飼育者(動物との接触が多い)
脾臓摘出手術を受けた患者 
アルコールを乱用する患者
糖尿病
肥満
喫煙者
免疫不全・自己免疫疾患の患者
免疫抑制剤を服用している患者
肥満症やアルコール依存症は血流中の栄養素のレベルが上昇している。カプノサイトファーガは大量の鉄を必要とするためこれらの条件が菌に好条件を与えているのだ。

 

免疫疾患を患っている人は免疫力が低下しており、通常ならば通さないはずのウィルスを通過させる可能性が高くなっている。免疫抑制剤を服用している人も同じ理由から、リスクが高くなる。

犬や猫に噛まれたり引っかかれたときの対策

すぐに幹部を洗浄し、消毒すること。特に食塩水による洗浄が推奨されている。傷が深い場合や、診察を受けるまで長引いた場合は、抗生物質を処方してもらうこと。

ソース: 米国国立医学図書館 国立衛生研究所 疾病管理予防センターの記事より

記事まとめ

カプノファーガ・カニモルサスはニュース等で取り上げられた「犬に舐められて四肢を切断」というセンセーショナルな部分が取り上げられがちだが

アメリカでの発症が一億人中6人、世界で症例が200例の稀な感染症である

日本での死亡に至る重篤患者は15年のあいだで14人

高リスクは高齢者、何らかの免疫疾患や糖尿病、アルコール中毒患者

犬、猫への口移しなどはやめる。噛まれたり引っ掻かれたら速やかに洗うこと

これらを頭に入れておけば十分な対策になる。普通にペットを飼っている分には恐れることはなにもない。下記の鈴木氏の話が非常に簡潔で分かりやすい。

(犬や猫に)傷口を舐められたら、出来るだけ早く洗うことが重要です。過度に恐れることはないが、正しい知識を持って犬や猫に接することが大切です
(国立感染症研究所 鈴木道雄主任研究官 談)

 

 


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