オウム真理教事件~狂騒の報道合戦⑥


絶えることない「オウム情報」がワイドショーに溢れた

 

マスコミVS.オウム真理教
マスコミVS.オウム真理教

麻原が逮捕されたのはいいもののでも書いたようにすぐに国松長官狙撃事件が起こり、翌月にはオウム大幹部の村井秀夫が刺殺されるなど、実質上オウムのしたことを話してくれる人間がいなくなってしまいました。

麻原は語らない。信者も事件の内実を語ろうとしない。深く関与している信者は逃走し、結局のところ何も分かっていない。

そうすると次はどうなるのかといえば

今まで分かったこと、撮った映像を使いまわし、ああでもない、こうでもない、と推測するしかないのです

本人たちに聞かなければ分からないことを「ああでもない」「こうでもない」と堂々巡りで議論するだけに終始します。

 

こんな時にもマスコミはオウムを「ネタ化」

オウム帝国の正体 (新潮文庫)
オウム帝国の正体 (新潮文庫)

さらに今度はそれだけではネタが持たなかったのか、次は詳細なオウムの内部構造、さらに古参幹部信者ひとりひとりの経歴やホーリーネーム(出家名というやつ)まで逐一放送し始めます。

あまりにも詳細にマスコミが報道するので、皆メイン信者の顔名前、学歴、経歴、出家名まで覚えてしまいました。

しかも信者間の人間関係だの、女性信者はだれが美人だの、さんざん個人的な情報を垂れ流したため、すっかり視聴者はプチ体験信者のごとく、特に知りたくもないオウム情報を覚えてしまうはめに。

しかも次に出てきたのはまた異様なオウム用語集のかずかずでした。

シャクティパット(麻原にバシバシ叩かれる修行)

麻原の毛(一本1000円で販売)

麻原の風呂水(200mlあたり二万円)

ダルドリー・シッディ(座禅ジャンプ)・水中クンバカ(水中で息を止める)

☝この二つは江頭2:50分がテレビの企画でやったことがあるので知ってる方もいるかも?

タントライニシエーション 麻原といかがわしい事をする修行(おい!)

えーっと、どこから突っ込んだらいいのか分からない・・・ここでは相当ソフトなほうの事柄を紹介してますが

500万円もらえるといっても全部いやです

ところが、これを信者の人はありがたがって時には涙を流し、自ら大金をオウムに差し出してやってしまってるわけです

マゾか、マゾなのか!?

 

オウムを生きて
オウムを生きて

当時、こういう修行(とくにふろ水のやつとか行為のやつとか)テレビで見聞きしただけで吐き気を催したんですけど、こういうと語弊があるかもしれないのですが、信者の人にとって麻原というのはアイドルにも等しい存在だったんでしょうね。

完全に偶像化してしまっているため、正直人だと思われてない気がします。でなければ、だれが他人の髪の毛を一本1000円で買いますか!?風呂の水を金出して買いますか!?

でもこれ、もし麻原がもっさい太ったおじさんでなくて、超美少女のアイドルだったら普通に買う人いるんじゃないかと思うんです(あんまり想像したくはないけど)

つまり一般人にとって麻原は「巨デブのおじさん」にすぎないんだけど、信者の人には「きれいなジャイアン」程度のフィルターは入ってたんじゃないのかと。

いやあ本当に宗教って恐ろしい

 

もっと頭の痛いことにこれを超高学歴の人たちがやっていた。まじで日本大丈夫か

まずワイドショーなどの場で語られたこととしては

①東大や早稲田の優秀な若者がオウムの幹部には多かった、こうした優秀な若者がなぜオウムに惹かれてしまったのか?

②なぜ皆麻原のいうことに従い、実行に移してしまったのか。麻原はどんな力をもって彼らに言うことを聞かせることができたのか

③オウムは何が目的だったのか。何をしたかったのか。

 

「当時高学歴の若者」とされていた信者たち、つまり今回のオウム事件による死刑囚の経歴がまたものすごい。

京都大学大学院

筑波大学大学院

京都府立医科大学卒業

元大手ゼネコン勤務

後に述べる上祐氏と青山氏にしても、早稲田大学大学院と京都大学法学部という経歴を持っています。

 

オウムのベースとノストラダムスブームは切っても切り離せない

こうしてみると、上位幹部はみんな超エリートといえる経歴を持っていることが分かります。特に理系とか医学、薬学を学んでいた人が多いのです。

文系が一人もいない。理系の人って意外とガチガチの現実主義者が多いかと思いきや、意外とオカルトに「ハマる」人が多いのでしょうか。特にでもざっと説明しましたが、当時は空前絶後ともいえる「一億総オカルト時代」でした。

特に1990年代に入ってからというもの、五島勉氏著「ノストラダムスの大予言」の文言が現実味を帯びてきたのです。というのも

ノストラダムスの大予言 迫りくる1999年7の月人類滅亡の日 (ノン・ブック)1999年7月、空から降ってくる恐怖の大王によって、世界は滅亡する!」 16世紀フランスの怪人ノストラダムス。その中でも究極の滅亡大予言をテーマにした本書は、1973(昭和48)年に刊行されるやたちまち話題を独占、空前の大ミリオンセラーとなった。引用元:Wikipedia五島勉

「1999年の7月に世界が滅亡する(そんなアホな)」という恐れは、当時の人間なら誰しも持っていた恐怖感の一つでした。

この本は250万部の大ベストセラーとなり、映画化もされています。250万部といってもいまいちピンとこないので現代の200~250万部ぐらいの本を挙げてみます。

 

火花 (文春文庫)

又吉直樹「火花」

 

漫画 君たちはどう生きるか 羽賀翔一「君たちはどう生きるか」

銀の匙 Silver Spoon(1) (少年サンデーコミックス) 荒川弘「銀の匙」(1~3巻累計)

 

かなり売れている部類の本であることが分かります。しかも映画にもなっており、相当な影響力があったことは間違いありません。

つまり当時「1999年七月に何かが起きる」「世界が滅亡する」といういわゆる「終末思想」へのベースは出来ていたわけです。

「1999年人類滅亡」を喧伝したこの本は、漠然とした将来への不安やトラウマを抱いていた、当時の青少年を中心とする人々に衝撃を与えた。 

地下鉄サリン事件など一連のテロ事件を起こしたオウム真理教は、五島が紹介した形でノストラダムスの大予言を信じ込んでいて、それが彼らの終末観を促進したという見方もある

引用元:Wikipedia「五島勉

 

つまりオウム真理教は「ノストラダムスの大予言」のようなテキスト、書籍(オカルトを多分に含む)がオカルトブームで当時の若者の基礎知識であったことをベースに、超自然現象や超能力により興味を抱いている若者を引き寄せていったのです。

もちろん「ノストラダムスの大予言」を読んで大抵の人は恐怖し、漠然とした恐れを感じもしました。何しろ大ブームでしたから。

しかしほとんどの人は勉強や学校、社会人生活に忙しくしているあいだにそんなことはすっかり忘れてしまい、いつもと同じように過ごしていたら1999年7の月は何事もなく過ぎていきました。

もちろん世界は滅んだりしないし核戦争も、第三次世界大戦なんて起きるはずもありませんでした。

1999年がくるはるか6年も5年も昔からそのことばかりを考え、世がなくなるまえにどうにかしなくては!と「選ばれた戦士思想」に凝り固まった人たちがいました。

オウム真理教に引き付けられていった「オカルトが過ぎた優秀な若者」の成れの果てです。

皮肉にも1999年が来るはるか以前に地下鉄にサリンをまき、なんの罪もない人たちをさらったりガスを浴びせ、大変な数の人を殺傷し苦しめたオウム真理教こそが「世の終わり」を作り出した存在そのものだったというのは何とも皮肉です。

 

☟今回は「未解決事件」を除き「元信者」の人の手記中心にピックアップしました。

 

☟オウム関連記事です。徐々にエスカレートしていくオウムの犯罪と、当時何も知らない一般人がどのような目線でオウムを見ていたのか、ということを中心に時系列で書いています。


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