オウム真理教事件~「変なおじさん」が「日本の敵」になるまでの話①

今日朝起きたらニュースで松本智津夫の死刑が執行されたというニュースでテレビはもちきりでした。

自分のような「オウムが徐々に社会に周知されていき、最終的には大それた犯罪を犯す形を辿る過程」を知る年代にとっては、そのマスコミの熱の入り方に非常に既視感を覚えてしまいました。

出てきたときから、ああした結末を迎えるまでいつもオウムは悪い意味で「マスコミの絶好のネタ」なのです。今の二十代、三十代の人はこの事件を知らないか、まだ幼くて覚えてない人が多いかと思います。

当時の社会情勢をお話することで当時の空気を少しでも知ってもらえたらと思います。実際にお父さんやお母さんに聞いてみるのが一番ですけどね。

 

少し回りくどい話。当時の社会的「オカルトブーム」はオウムと無関係ではない

当時は超能力、怪奇現象、UFOブームがものすごく、いつもスペシャル番組が組まれていました。

みんな「アダムスキー型(UFOの形)」なんて言葉を普通に知っていましたし、何より矢追純一さんのUFO特番が大人気で、放送された翌日など小学校で宇宙人の話やUFOの話などが普通に飛び交っていました。そういう時代でした。

特に当時の子供たちにブームを巻き起こしたのが「ミステリーサークル」です。テレビでイギリスのものが取り上げられ、日本でもどこで見つかっただのあそこで見つかっただの、テレビで特集されるたび、日本中の熱が上がっていきました。

人面魚が出ただの、高速道路で顔がおばあさんの犬に追いかけられただの完全な与太話も本気で信じている子供たちもたくさんいました。

 

一億総オカルト時代。その背景が今でいう「スピリチュアル系」タイプを作った

1990年代(昭和63年~平成初期)は、一億総オカルトブームといってもいい時代だったのです。YouTubeもないしネットもないので、みんな同じテレビを見、同じ話題を共有していました。

必然的に多感な少年少女はオカルトに傾倒していきます。そんな「世の中が自然にオカルトに染まった時代背景」だったところに出てきたのが「松本智津夫」こと「麻原彰晃」だったのです。

 

「テレビに出ている変なおじさん」それが松本智津夫こと「麻原彰」だった

彼はテレビに出たときネタ枠だったと思います。今でいう「TVタックル」や「サンジャポ」に出てビートたけしにしばかれている感じだと思うと一番近いかと思います。

彼は「空中に浮ける」といい、ヨガの座位のポーズを取ったまま空中に浮かんでいるフリップをテレビで見せました。

「えっ・・・これ完全に自分でジャンプしてるだけやん」

たいていの人はそう思いました。誰だって思います。子供だって騙されません。だって顔思いっきりしかめてるし、完全に力入れて「フンヌッ!」てあぐらかいて上に飛んでるだけにしか見えなかったし。

でもあんまり真面目に「僕は宙に浮けるんです、ほらこうして写真もあります!」ていわれてしまうと「あっ・・・うん・・・(察し)」という感じになるじゃないですか。

人間ね、あんまり一目瞭然のことを「そうじゃない、僕はこうなんだ」と主張されると「アンタおかしいでしょう!なに言ってんですか本当に」なんて言えないでしょ。

特に日本人は「察し合い」文化ですから「ああ、麻原さんはそう思ってるんだね。ならそれでもいいんじゃない」という感じでテレビに出てた感じだと思う。

☟当時を知ってる方のとぅぎゃったー。とても当時の感覚が伝わりやすい。

これを本気で信じちゃった人たちがいた。そういう人が「オウム」に入ったの

 

本当に冗談かと思うし、あの時の麻原さんのいじり方は「はいはい。そうね。すごいね、宙に浮けるんだね(お前の中ではな)」というので正しかったと思うんです。

まさに「変なおじさん」ですよ。でもそれを本気で彼が宙に浮けると思ってしまったピュアな人たちがいた。

今でもあれだけテレビでやっているのにオレオレ詐欺に騙される人がいなくならないように、こういう人は一定数社会にいるんです。たぶん今だったらオレオレ詐欺に騙されてると思う。

当時の金金金、地上げだ、バブルだ、土地ころがしだ、と非常にエネルギッシュな、言い方を変えれば「俗っぽい」社会情勢に付いていけない、というかそういう油っこさに馴染めない人たちがいた。

今でいえばエコだのスピだのに異常に傾倒してる人みたいな感じの人たちが「麻原にはなにかがある」と思って彼に吸い寄せられていった。

「金金金」と「宙に浮けると言ってる変なおじさん」かどっちしかないんかい。そういう人は極端なんで「俗っぽく」生きるか「スピリチュアルに生きるか」の両極端しかないんです。

その中間で、つつましく普通に暮らしていた人たちのことを彼らは知りません。そういう人たちを「自分たちを迫害しようとしている敵だ」と勝手に認定し、地下鉄でサリンを撒いたり、罪のない弁護士一家を拉致して赤子にまで手を掛けてしまったり、住宅街にサリンを撒いたりして「普通につつましく生きてる人たち」の営みを消してしまった。

自分たちで好きにやってればいいのに、関係ない他人に対しての被害妄想が膨れ上がり、それがぱんぱんに膨れ上がって破裂し、社会に多大な迷惑をかけ、人まで殺してしまった。それが一連の「オウム真理教事件」だと私は思っています。

(続)

 

 


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