「ディック・ロラントは死んだ」について考える 「ロスト・ハイウェイ」感想⑦


謎すぎる冒頭のセリフ。その意味を考えてみる

「ディック・ロラントは死んだ」という言葉、どういう意味なんでしょうか。

まあ考えてもわかるわけなどないし、考えれば考えるほど混乱していく言葉です。

見ている人間にいきなり突きつけられる「ディック・ロラントは死んだ」という言葉。

不条理にも程があります。もしいきなり男が訪ねてきて「〇〇〇〇は死んだ」なんて言って来たら怖すぎるし、犯罪を疑ってしまいますよね。

これに関して、またも個人的にいろいろ考察したのでまとめておきます。

注:ミステリー・マンの正体編に続き、こちらも個人の想像、考察を連ねています。「こういう考え方もあるんだなあ」という感覚で読んでいただけるとちょうど良いです。

ループしている時間の流れについて

冒頭「ディック・ロラントは死んだ」とフレッドが自分のうちのベルを鳴らしてインターフォンに話していますね。

のちほど、このシーンはラストのシーンとつながります。ラスト、同じように自分のうちのベルを鳴らして同じセリフを言うフレッド。追いかける刑事たち。車に飛びのり、逃げ去るフレッド。

パトカーがけたたましいサイレンを鳴らしてフレッドの車を追いかけます。冒頭とラストシーンの時間がループして、このままではエンドレスでこの映画全体がループし続けてしまいます。

この映画は一回目で意味が分かるひとはほとんどいないと思うので、この構造自体は理に適っている。しかし、普通に考えて冒頭のシーンとラストのシーンが繋がるなんてことはあるのか。

ラストシーンのフレッドビリビリのシーンでひとまず「一旦幕が下りる」としても、そうするとそれから繰り広げられていった映画のほとんどのシーンはどうなっているのか。

 

フレッドと「ロラントは死んだ」フレッドが同時に存在しているシーンについて

刑事がフレッドの家にやってきたシーンがあります。刑事が「少し家の周りを見させてください」といい、家の周りをチェックしはじめ、レネエも刑事もいなくなり、ひとりフレッドが取り残されます。

家の中でぼんやり所在なさげに立ち尽くすフレッド。ファンファンファンファン!微かなサイレンの音がして、フレッドは外を覗いてみます。

外の駐車スペースに目をやれども、車は一台もいない。

このシーンこそ、ラストの「ディック・ロラントは死んだ」と外側からやってきたフレッドがインターフォンに向かって言い、刑事に追いかけられて逃走を繰り広げるシーンに繋がっているのだと思うのですがどうでしょうか。

見ている限り、フレッドが「外から来たフレッド」の「ディック・ロラントは死んだ」という言葉をインターフォンを通じて聞いたようには思えません。

それどころか、まるで無反応のまま、微かなサイレン音に外をのぞいてみるだけです。

当然誰も、どこの車も止まっている訳がない。フレッドが外を覗いた時間は遅すぎて、もはやフレッドの運転していた「エディー」の黒いベンツも、刑事たちの車もとっくにどこかに走り去っている。

先程も言ったように、このシーンはループした円環構造になっているのでしょうか?ある一つの仮説を立てましたので一言でいうと

 

フレッドは未来からのタイムトラベラーでは説

冒頭の「ディック・ロラントは死んだ」とインターフォンに言いに自宅に戻ってきたフレッドは「未来からのタイム・トラベラー」ではないかと思うのです。

では一体誰に、何のためにこの言葉を言いに来たのか。

 

誰に:過去のフレッド(過去の自分に)

何のために:自分がディック・ロラントを殺したから、過去の自分に対して「もうお前は殺す必要はないぞ」と教えるため

というのはどうでしょう。私は初めレネエに「ディック・ロラントは死んだからな」という脅しのためにこの言葉を言いに来たのかと思ったのですが、よく考えたらレネエはこの時すでに死んでいた可能性が高い。

だからフレッドがわざわざ危険を冒してそんな無意味なことをしに、家に戻ってくる理由がないのです。

さらに、先の刑事が家の周囲を見て回っているシーンで、遠ざかっていくパトカーの音、その音に気を惹かれて外をのぞいてみるフレッドの場面。

顔を合わせることはなかったけれど、確実に同一時間、同一場所に「過去の主人公」と「未来の主人公」が同時に存在していることになります。

この「顔を直接合わせることがなく、ニアミスに終わった」というのがミソで、つまり「過去のフレッド」と「未来のフレッド」が同時に同じ場所に存在するところまでは実現可能でした。

ところが、うちの中にいる「過去のフレッド」はインターフォンを鳴らした「未来のフレッド」の言葉を聞くことはなく、さらに「逃げていく未来のフレッド」を結局のところ「うちの中にいる過去のフレッド」が認識することは一度もなかった、ということです。
https://twitter.com/notactor/status/1004146827610877952
 

タイム・トラベラー説 まとめ

 

ややこしくなったのでまとめます。

・冒頭のシーンと最後のシーンは繋がっている。

・未来からディックを殺した「フレッド」が過去の自分に彼を殺したことを告げに来た(教えようととしていた)

・未来のフレッドと過去のフレッドは、同じ空間に同時に存在することになったが、二人は絶対に互いの声を聴くことも、顔を見ることも、姿を認識することもできずに終わった。

・つまり時間軸の違う同士は、たとえ本人であろうと顔を合わせられない

 

今回は、時間の流れを中心に考えてきました。次回は過去の自分に「ディック・ロラントは死んだ」と知らせるメリットについて考えたいと思います。

 

 

 

タイムトラベルものといえば私はコレです。しばらく見ないと見たくなるんですよね~デロリアンが憧れでした。

 

 


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