女は怖い、というメッセージを読み取る映画「ロスト・ハイウェイ」感想③


 

今回は完全に「個人的な推測」ネタバレ、強引な論理が多く、考察とは言えない記事となっております。あくまでも「こういう考えもあるんだな」程度でお読みいただけると幸いです。以下、大変殺伐としたレネエの心理描写が続きますのでご注意ください

 

「ロスト・ハイウェイ」がフレッド目線であるからこそ、レネエの心理を考える。

レネエはなぜディックという存在がありながらフレッドと結婚したのか。それは「そういうのもいいかな」と思ったからでした。

ディックとの生活はそれなりに満足だし、愛人として優遇もされていた。ヒリヒリするしスリリングだけど、いささかその生活に「飽いた」のではないか。

だからその時期タイミングよく言い寄ってきたフレッドとあまり考えずに結婚することを決めた。

どこか「ディックに対する腹いせ」というか「あてつけ」のような意味合いがあった結婚なのかもしれません。自分ではなく、ほかの女にちょうどディックの関心が向きつつある時だったのかもしれない。

そんなときに「ほかの男と結婚する」ということほどディックを焦らせ、嫉妬させることはあるでしょうか。

つまりその程度の気持ちで家庭を運用できると結婚生活を侮っていたし「フレッド」は単なる「ダシ」に過ぎなかったのです。そこそこ「好き」ではあったが、それは一緒にいて不快ではない、そんなに嫌いではない、程度の気持ちだった。

二人の間がとても冷めているように見えたのは、レネエが早々に「平穏な結婚生活」に飽いており、自分は元々そういう生活が合っている人間ではない、と気が付いたからではないか。

よく考えたらアンディやディックと享楽的なパーティを繰り広げ、淫蕩極まりない「金持ちのお遊び」に興じているほうが楽しかったし、自分はフレッドと結婚したとき少しそういう遊びにいささか疲れつつあったので「家庭に入るのもいいかな」と一瞬思って結婚をしたものの、すぐに「平穏」が物足りなくなってきた。

だから生真面目なだけで面白味のないフレッドに対して冷淡になってきた。なんだかんだ言ってもフレッドは自分にベタ惚れだから、少々冷たくあしらうくらいでちょうどいい、そんな気持ちでいた。

なにか気にかかっていることがあるのか最後までできないし、ディックに比べて物足りない(男性度も、面白味も)

じゃあたまには(悪い)友達と弾けるのもいいじゃない。昔の仲間にならば素の自分を見せても引かれない。フレッドは難しい顔をしてちょっとアンディと親しく話していただけでどこかに行ってしまったけれど。

ああやっぱりつまらない。フレッドといるより昔の仲間と遊んでいるほうが楽しいわ。ああ、面倒くさい。なんでこんな堅物の人と結婚しちゃったのかしら(帰りの車中で)すぐ「帰ろう」とか言いだして態度もおかしいし、せっかくの気晴らしだったのに面白くないったらないわ。

しかも私の過去の話まで詮索しようとするし。そんなこともうどうでもいいじゃない過去の話なんだから!

家に帰ったのに車から出てくるなとかいうし、結局誰もいなかったんじゃない。この人すこしおかしいんじゃないの!?

 

という風にレネエの心理を想像してみました。根拠は「普段からの気だるげなしぐさ」「フレッドとの間に冷たい風が吹いている風な空気感」この二つです。

 

レネエはどんな女なのか。一言で言うと「この女はヤバイ」

この女ヤバイ、と思ったのはアンディとパーティでイチャイチャしてるときですね。夫同伴でありながら、その目の前で夫でもない男とあれはマズいです。

あばずれと言われても仕方ないです(久しぶりに聞いた)

酒を飲んだ時に人間は素が出てくるといいます。つまりあっちが本当のレネエです。

男好き。享楽的。難しいことは嫌い。とにかく楽しいことが好きでオツムが軽い。そんなタイプが堅気な仕事をしているフレッドの「良い奥さん」なんて勤まるはずがありません。

パリピの素が抑えきれなくなった。「パーティ後」のレネエが真の彼女

だって元々パリピなんだからパーティなんて嫌いそうなフレッドとは元々相容れないのです。

だから、パーティの帰り不機嫌だった。「自分が生き生きとできる場所」にいる夫が、ひどく場違いにも思えたし「自分とは全く異なるタイプの人間だ」とハッキリ分かったのではないか。

また、普段「いい子ぶってる」だけに、ホームの場所に居たことで「もともとのレネエ」が隠し切れなくなり、車の中にいる、いないの際の冷たい冷ややかなやりとりに繋がったのではないか。

あのときのレネエは「夫を夫とも思わない感じ、夫を明らかに粗雑に扱っている」態度そのものです。普通の妻ならば、自分の身を気遣って「先に家を調べてきてくれた」なんて分かったら「この人は私のことを考えてくれてるんだなあ・・・」とじーんとするものを、あの態度はまずい。

完全に「昔の仲間と比べて夫が劣ると感じてる」対応のように見えました。

つまり完全に

フレッドがどうにかできるタマの女じゃない、完全に手に余るレベル

の女性とフレッドは結婚してしまったのでした。

 

この映画に「女ってこんなふうに気分が急変するよね」というメッセージを感じる

 

この映画はまるでとりとめのない夢の中のような現実と空想、願望が入り混じる構造のように思えますし、実際フレッドの「サイコジェニック・フーガ」がモチーフです。

だから「同じようで違う人」「同じ外見なのにその人じゃない」というシーンが結構あるのですが、それだけでなく

女はそういうのなくても普通にこれくらい人格が変わるし違う人間に変わるよ

というリンチのメッセージを私はどこか感じてしまうのです。なぜかと言うと先に挙げた

「パーティ前⇔パーティ後のレネエ」

「出会った頃の純真に見えたアリス⇔普通に知り合いの男を利用して金を奪おう、と平然と言うアリス」

「可愛くて虫も殺せないように見えたアリス⇔アンディに手を下すピートを平然と眺め、その後のアンディの自爆に取り乱すことなく、あなたのせいよとしれっとなすりつけるアリス

 

これら全て「女性の変貌の怖さ、同じ人間でありながらコロッということもやることも変わる」落差を知らなければ描写できないギャップだと思います。

ひょっとしてこれはリンチの隠れメッセージではないかとすら思ってしまいます。

 

今回は彼女の言動、態度などからつらつらと私が勝手に考えたレネエの心理など考えてきました。まだまだ「ロスト・ハイウェイ」関連は考えられそうなのでまた記事は書きたいと思います。

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