いろいろ検索しているとこんな動画を見つけました。その名も「リンチ・コーヒー」
コーヒー大好きなリンチがついに自分でコーヒーまで作ってしまい、そのCMなのだそうですが
このCM10年ほど前に作られたものらしいのですが・・・。もうね、私これ見て思ったよ。完全にセルフパロしてて、しかもおちょくり気味にセルフパロしてわざとチープにしてますよね。
冒頭のシーツ、指輪を嵌めた指のカットで完全に「ツイン・ピークス」でクーパー捜査官が夢の中で啓示を受けるシーンをパロ。コーヒーミルの下に缶を持って控えている怪しい男に魚眼レンズから覗く歪んだホラー映像、ビリビリいいながら点滅する豆電球。もう紛うことなきリンチ節(笑)
これ見てると、本当にこの監督は「やりたいこと」「好きなこと」に最も忠実に映画を作ってるんだなあ、ということがよく分かる。
そう考えると「ツイン・ピークス」(旧シーズン)ってかなりわかりやすく、かみ砕いて「万人受けするリンチの思わせぶり」を見せるのがとても上手かったんだなあ、と思う。
っていい意味での「開き直り」とか「吹っ切り」を前面に押し出してるような印象を受ける。そりゃあそうですよね。TVシリーズ全26話、映画版は約二時間。
こんなに「一つの世界観をずっと連続してやってくれたリンチ世界」ってないですよね。それに付いてこられるある意味「難解さへの免疫がある、選抜された観客」がまた付き合ってくれるんだから、それはもうかなりの説明、世界観に割く部分を省略できる、ということは表現にとっては自由な環境ですよね。
デヴィッド・リンチ監督の言いたいことって本来、これぐらいの時間を使わないと言えないぐらいいろいろあるんだと思うんですよ。
だからと言って旧シーズンが「リンチ監督やりたい放題」じゃなかったかというとそうではなくて、確信的に「自分がやりたいこと」と「人に受けること」を分けられる監督なんですよね。
自分の持つ「毒味」をどこまでも客観的に見られるから「リンチ風の毒」を薄めた味付けもできる。リンチ監督の「いつものリンチ節」を知らない人が見ると、完全にこの監督頭がおかしい、としか思えないと思う。
リンチ作品で一番奇妙なのはウッズマンでもミステリー・マンでもなくて、実はそれを作ってるリンチ監督が群を抜いて奇妙な人だっていうね!
最後にリンチ監督の言葉を引用します。
意味合いなんかについて語ると不愉快になるんだ。物事の意味なんて多くは知らないにこしたことはないよ。だって意味っていうのは、とても個人的なことで、僕にとっての意味は他人にとっての意味とは違うものだからね
そんな風に「あれはどういう意味なんですか、どういうことですか」ばかり聞いてくるインタビュアーにうんざりしてる感じですね。
普段からそういうことばかり聞かれすぎて、かなりうんざりしてるのかも。でも本人を前にしたら絶対聞きたいから聞きたい気持ちも良くわかります・・・
そうやって「すべての意味」を解釈し、読み取ろうとする視聴者を突き放したようなことをいいつつも、リンチ監督はいつもどこかに映画やドラマの中に「小さなピース」を落としておいてくれる気がします。
小さな欠片はおいておくから、その欠片から「あなたなりの」解釈をしてください、っていうやさしさがあると思うんですよね。
リンチコーヒー飲みたいと思ってリンク先に行ってみたけど404でした・・・
カフェモノクロームさんで豆を売ってるみたいです。上の写真みたいなドーナツとか、ツイン・ピークスのプリントクッキーなんかもあります。ドーナツは〇スドじゃなくてこんなゴッテゴテのやつの方が「ツイン・ピークスらしい」ですよね。
5/29(火)は15時-23時の営業となります。チェリーパイ
ブルーベルベットケーキ
ブラックロッジケーキ
ドーナツ、デヴィッドリンチコーヒーをご用意!スイーツは数量限定!売切れの場合はご了承ください。18時からはバータイムスタート!映画モチーフのドリンクをご用意してご来店をお待ちしております。 pic.twitter.com/ZtPrY0AbyZ— café monochrome (@cafemonochrome) May 28, 2018
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