先日「地方の家電販売店はなぜ終わっているのか」という記事を書きました。
店をぶらぶら歩きながらものを選ぶのが好きな、いち消費者の視点での「これがよくない」という点をかなり辛口に書きました。
しかし後から記事を読み直して思いました。

と。私が愛していた「あの景気のよかった、週末になれば人で賑わう家電店」の明るい雰囲気をまた見たいです。
目次
購入層をカテゴライズし、対策を練る
昨今の「わざわざ家電販売店に行く」層を考えてみましょう。
正直言って、この「やる気層」はほぼネットに持っていかれているのが現状です。これまでは家電販売店しか購入ルートがないから、そうした購買意欲の高い人のエネルギーはすべて家電店に向いていました。ところが、こうした人は「やる気」をネットを含めた価格比較の方向に向けるようになりました。
なぜそうなったのか。「単純に楽しい」からです。人は何かを購入するとき、たくさん比較したいものです。それが高いものであれば高いものであるほどです。
高いものを買うときは、それだけの対価を払うのだから
「これを買った自分は間違いじゃなかった」
「いろいろ選べて楽しかった。だからこの対価は相応である」と納得したい
家電販売店にしかできないこと。アメトークの「家電販売芸人」を店でやる
別に店員さんにケンコバみたいに流暢に面白いことを言えだとか、細川茂樹さんみたいに次から次へとおすすめ家電をプレゼンしろ、とかそういう意味ではありません。
私は家電販売店の内部構造には全く詳しくないのですが、家電販売店で働いてらっしゃる方は「家電に全く詳しくない、家電のことには全然興味がない」方が多いのでしょうか。
普通に考えれば、自分の売っているものを知らない、詳しくない、という方は少ないと思いますので、店員さんは「ほぼ家電に詳しい、興味がある、うんちくを語れる」前提で話します。
冷蔵庫とか倒れたら危ないものはなかなか難しいとして、例えば自動式掃除機。それを使っていて、本当に「これはスペック、価格、機能、デザイン性すべて」または「これはとにかくいい!いいんです!」と偏っていてもいいからとにかく個人的にゴリ押ししたいものを押し出していくのです。
店舗の入り口、または店のドアを入ってすぐの玄関口。見逃されがちですが、あそこは必ず店に入る人が目にする超重要導線です。
あそこに置いてあるものは、ほとんどの人が目にすると言っても過言ではありません。じゃああそこに「今月のおすすめ家電」のコーナーを作りましょう。熱いPOP付きで。語り切れない熱いうんちくはA4用紙に書いてコピーして横に置いておいても構いません。まさに「アメトーク」の家電芸人を地で行く感じです。
店員さんの「プロ性」を発揮する場がなく「販売員」になっているのがいまの現状
客が来ないから接客できない。めったに来ない客が来るとうれしいからがぶりより、逃げられる。
これが今の現状だと思います。なら、それを暑苦しくない形で発揮していきましょう。「家電販売店の店員さんが勧めている」というのはかなり大きな判断基準です。
きちんと「お勧め」にはお勧めしている人の名前を書く。そうすればお客さんはその人を呼べば直接その家電の良さを聞くことができる。
つまり逆指名をお客さんにさせていくよう持っていくのです。
実店舗の強みはこれしかない。直接話を聞ける、質問できる、納得して買える
この暑苦しさは各コーナーに於いても変わりません。店員さんは生活しているのだからかならず家電を使っているはずで、しかも「これは自分はいろいろな観点から考え、良いから買った」というもののはずです。
「家電店の人が使っている」その家電をお勧めされた人間は心が動かされますよ。実際使っている人の感想が直接聞けるんですから。
インターネットでも「レビュー」というものがありますが、自分の知りたいことを書いてくれてないときは実際のところが分からないのです。ところが「目の前に」使っている人がいるのだから、何でも聞き放題じゃないですか。
各部門、一品でいいから「店員さんがお勧めしたいもの」をきちんと入荷させて置いておく
そうしておすすめしたはいいものの、品切れになっては元も子もありません。少しでいいから、きちんとその「おすすめ商品」の在庫を確保しておくこと。一時的に切れたら「現在好評につき売り切れ中です。しばらくお待ちください」とPOPを貼っておく。
そうすれば「本当に売れているんだ」「皆買っているんだ」という印象を与えることができて機会損失のダメージを減らせます。
やるからにはちゃんとやる。中途半端にはやらないことです。いわゆる「店員さんお勧め」は「その人個人が責任を持っている企画」です。
「自分の責任で何かをやる」ということはしんどいことですが、やりがいもそれだけ大きい筈です。
強制するのではなく、偉い人が「やってみるか?」と働きかけて意欲のある人にやってもらう。何かを任せられることで意欲のある人は張り切るし、いろいろ試行錯誤するでしょう。
せいぜいその店員さんのおすすめしたい機種を一品扱うだけです。失敗しても大したダメージはないはずです。
いろいろ書いてると長くなりました。まだまだ書きたいことがあるので、また記事を書くつもりです。今回はこのへんでまとめます。
まとめ
「意欲ある購買者」はネットに流れている。
店員さんの持つポテンシャルを現在全く接客の機会が減り、生かしきれてない。それを生かす方法として「店員お勧め」家電を各売り場でプッシュしていく。
「家電販売店の店員が勧めている」ものの価値はかなり高く見える。
入り口すぐの超重要導線を生かす。「お勧め」商品をPOPで暑苦しく語ってみる
使っている人に直接質問や使い心地を質問できるのは大きい(実店舗の強み)
やるからには中途半端にやらない。きちんと「企画」としてやってみる。
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☟この話の続きを書きました。