「サタデーナイトフィーバー」鬱屈した青春と希望

サタデー・ナイト・フィーバ (字幕版)

サタデー・ナイト・フィーバ (字幕版)

 

逃げ場のない環境と家族の鬱屈

主人公のトニー(ジョン・トラボルタ)はブルックリンの労働者階級の家庭で暮らす青年。父親は無職で鬱屈しており、トニーの一挙一動にいら立ち、毒舌を吐く。

言い争いの絶えない二人の間に挟まれて感情的に泣きわめき、疲れ切っている母親。それをなすすべもなく眺めているだけの祖母。貧乏ゆえの家庭不和。逃げ場のないことに苛立つように、トニーは仲間と町に繰り出す。

導入部、ビージーズの「Stayin’ Alive」とともにまるでステップを踏むように軽快に登場するトニーは複雑な、家庭の事情を抱えているにも関わらず、悲壮な感情や鬱屈は微塵もなく、実に生き生きと暮らしています。

それは彼が週に一度、輝く場所を持っているから。週に一度、土曜の夜に輝くためにトニーは味気ない日々を懸命に働いています。

シャイで、繊細で、でもそれを表す術をしらない主人公

ディスコで踊るトニーは誰からも憧れられる存在です。ところが一歩外に出たとたん、パッとしないダメな連中とつるむ何も持たないタダの若者になってしまいます。

「サタデー・ナイト・フィーバー」が不幸の描写ばかりの暗い映画にならないのは、トニーが仲間と馬鹿をやっている時も「俺はこんなことをしていていいんだろうか」といつもどこか浮かない顔をしており、ここからどうにかして浮かび上がりたいという気持ちを無くさないからです。

ジョン・トラボルタ 17859  写真 小 15cmX10cm
ジョン・トラボルタ 17859  写真 小 15cmX10cm

 

ちょっとした諍いで職場のペンキ店をくびになっても、トニーは自分の父親のように誰かに当たり散らしたり負の感情を誰かにぶつけることをしません。それは彼が環境に心底ウンザリしているからこそ、その方法では何も生み出さないことを知っているからです。

彼は「このままではいけない」と気が付いています。けれど何をすればいいのか分からないまま時に苛立ち、足掻いています。その足掛かりとしてトニーはコンテストで優勝することを目指します。

運命の出会いがトニーに見せたもの

ディスコで踊っているステファニーの踊りに雷に撃たれたように衝撃を受けるトニー。誘いをかけるも、彼女にはまったく見向きもされません。簡単に言い寄ってくる女性ばかりに囲まれているトニーには、自分への行為を欠片も見せない彼女が気になって仕方がありません。

 

ステファニーが住んでいるのはブルックリンと橋で隔たっているだけのマンハッタン。そこはブルックリンとは雲泥の差のこぎれいな町でした。なんとかステファニーはさらに上にいこうと足掻いています。

ジョン・トラヴォルタポスターフォトSaturday Night Fever Hollywoodムービースターポスター11 x 14
ジョン・トラヴォルタポスターフォトSaturday Night Fever Hollywoodムービースターポスター11 x 14

トニーとは全く異なるその環境でありながら「ここからもっと高い場所に行きたい」「自分の力を試したい」とトニーと同じように足掻いているのでした。

空しい一等賞

諍いや口喧嘩を繰り返しつつも、二人はようやく踊りを完成させます。

コンテストの優勝者が発表され、トロフィーを手渡されたトニーは無表情でステファニーの手を掴み、店を出ます。このコンテストがいんちきだと心底感じたからでした。トロフィーも賞金も、自分たちより優れているペアに手渡すとトニーは店の外で感情を爆発させます。

賞を取ったのが真に優れた彼らではなく、ディスコのヒーローの自分であったということが、潔癖で真面目なトニーには我慢できなかったのです。


ステファニーとも仲たがいし、ヤケになったトニーはいつものろくでもない友達と深夜のドライブに向かいます。橋に登るいつもの悪ふざけ。そんな中、ちょっとした手違いで友達が橋から転落し死んでしまいます。

変わらなければ、でもあの町にいてはいけない

呆然としたままトニーは地下鉄を何本も乗り継ぎます。そうして夜が明けるころようやくたどり着いたのはステファニーの家でした。そこでトニーはステファニーに誓います。

「あの街を出るよ。そうして君の住む近くに引っ越そうと思う」

トニーはそのとき初めて自分から、不和ばかりの家庭、ダメな友人たち、身内びいきをするディスコの人々に見切りを付けたのでした。

ブルックリンを抜け出さず、一生あの場所で生きるのならばそれなりにきっと生きてはいけるし、「それなりの幸せ」が手に入るのでしょう。けれど恐らく自分はあのままあそこにいると、父親と同じようになってしまう。

トニーが悩み続け、ようやく「変わるためにはどうすればいのか」に気づいたのは、ステファニーとの出会いが間違いなく大きな影響を与えたためでした。

この映画はそのあと二人が恋人になって終わり、という安直な結果にしません。ただ、手を握り合った二人のラストシーンに「愛はきらめきの中に」が流れてきます。これからの明るい未来を予感させてこの映画は終わります。

爽やかな、明るい未来への余韻が残る青春映画

SP:大きな写真、ジョン・トラボルタ、「サタデー・ナイト・・」
SP:大きな写真、ジョン・トラボルタ、「サタデー・ナイト・・」

この映画はあまりにも上記のポーズが有名すぎて、ダンスの映画だと勘違いしていたのですが、じつのところ「青春映画」なのですね。

若いからこそやりがちなバカな喧嘩。性欲まみれでギラギラして、尻の軽い女の子とすぐ関係を持つ。バカやるのが当たり前で橋に登ったりハンバーガーショップではしゃいだり。

彼らはアメリカの若者なのでややそのワルにやりすぎ感がありますが、若者というのはこういうバカをついやってしまう生き物です。

そういう意味では、この映画は中年世代が見たら「アイタタタ」となるかもしれません。自分が彼らぐらいの年齢の時やったバカなことが蘇ってしまう可能性大です。

重すぎるから抜け出した。でも目的がなければ挫折してしまう

トニーの家庭環境はあまりにも重すぎます。父親が無職で母親と不仲。そのくせおかずに文句付けたりするのでぎすぎすする食卓。

父親は人生が上手く行かなくて燻っているので、生き甲斐があって、そのために楽しそうにしているトニーにとにかくイラつくのです。だからしょっちゅうトニーにチクチク嫌味をいい、喧嘩になります。

そんな家族の期待を一身に背負っているのが家を出て牧師になった兄です。彼が挫折して家に帰ってきたときさらに家族の空気は重くなります。彼は親の期待のために牧師になり「いい子すぎて挫折した息子」なのでした。

トニーにダンスがなかったら、どうなっていたのだろう

「サタデー・ナイト・フィーバー」は、がんじがらめに縛られている環境や価値観から、自分の力で飛び出そうとする若者の話です。

ラストシーン近く、トニーは地下鉄でたった一人で車両に揺られています。ぼんやりと真っ暗な窓を見つめ、何かを思っています。電車を降り、ホームを歩いてもそこには人影ひとつ見当たりません。

これは「町を出よう」そう決意したトニーの内面世界を象徴したシーンだと感じました。ラストシーンでステファニーに「友達になろう」と言うトニーの言葉に一瞬「!?」となります。

「これからあの街を出て、俺は変わっていくし成長するよ」と言いたいのかな、と思いました。

そういう意味では、私はこの映画の後味はとても良く感じました。若者特有の悩みを描いた青春映画として(やや重いシーンも挟みつつ)いろいろ考えさせられる映画です。23歳のジョン・トラボルタがかっこいいし、キレのあるダンスシーンを見てるだけでも非常に楽しめました。

大きな写真、「グリース」トラボルタとオリビア・ニュートン・ジョン鮮明
大きな写真、「グリース」トラボルタとオリビア・ニュートン・ジョン鮮明

 


今風若者と女の子&ロックンロールの恋物語「グリース」

主演もトラボルタです。 「若カッコいい」トラボルタを堪能できる映画。

ブロマイド写真★『グリース』ジョン・トラボルタ&オリビア・ニュートン・ジョン/白黒
ブロマイド写真★『グリース』ジョン・トラボルタ&オリビア・ニュートン・ジョン/白黒

こちらは「サタデー・ナイト・フィーバー」の続編「ステイン・アライブ」

夢を叶えダンサーになったトニーを待ち受ける挫折。「夢を叶える」とはなにか。そのためにどれだけの幸運を得て挫折を乗り越えなければならないのか。

シルベスター・スタローンが脚本を書いた「ステイン・アライブ」はどこか「ロッキー」を思わせる若者のサクセスストーリー。

ラジー賞にノミネートされたのはあまりにも前作が良作すぎた反動だろうか。

 

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