1000円カットの経済学


みなさん1000円カットって行ったことありますか。私は通ってます。1000円カットってどういうイメージですか?
通常美容室は3500円~4500円が中心ですね。大体カットだけだと2500~3000円に、プラス1500円はブロー代。この価格帯に慣れてると

そんな安くできるのおかしくない?

と思うのは当然です。または「安かろう悪かろうじゃないの?」みたいなイメージとか、店員さんがとんでもなく怖いとか(1000円でカットなんかさせてんじゃねえよ!みたいな「怒」を打ち出した感じ)とか技術が劣るんじゃないかとか、安いのには何か理由があるんじゃないの・・・?とかいろいろなマイナスイメージが湧いてくるのかもしれません。

今の世の中「安い」ということはいいことですがその裏を疑ってしまうのは当然です。

でも1000円カットにはなかったよ

なぜ1000円でやっていけるのか。経営は大丈夫なのか。そのあたりをお店に行くたびに分析してみたのでまとめます。

予約を受けてない

そのお店(B店)は予約制を導入していません。直接お店に行って名簿に名前を書くと初めて順番待ちに参加できます。レストランの前にある名簿みたいなシステムです。美容師さんの手が空き次第、順番に呼ばれていく形になります。

通常の美容室というのは予約制ですが、お客さんが時間に間に合うとは限りません。10分くらい遅れたり、もしくはお客さんが到着した時点でカット担当の美容師さんがまだほかのお客さんのカットをしていて、雑誌を渡されたり取りあえずケープを掛けてもらって椅子に案内されるパターンが多いと思います。

つまり時間にいくらかのロスが生じます。美容師さんもアシスタントさんも給料が発生しているので、そのロスは即「経費」となります。ところが予約を受けていない場合だと、お客さんに「お店の都合に合わせてもらう」システムなのでこうしたチャンスロスはありません。

「定時制」で勤務形態を決めている

B店のカットは12時~14時までが1000円、カラーは14:00~16:00までが1650円です。お昼や夕方というのは主婦が一番忙しい時期、または昼時なのでこうしたお店の客数が減る時刻です。

極端な話、もしその12時~16時の客数がゼロだったとすると、その間の売り上げはゼロです。ところが、1000円でいいからカットしますよ~という名目を打ち出すことによって、毎日一定の客を見込めます。このケースでも「お店の都合にお客さんが合わせる」というシステムが導入されています。

さらに観察していると、14時の1000円カットの時間が終わった後、カラーを担当する美容師さんとメンバーが入れ替わっていました。こういうシステムを導入すると固定シフトも組めるし残業もありませんよね。

通常の美容室はシャンプー、カット、ブロー、カラーなど全ての作業がすべての営業時間発生します。その間電気代、水道代、薬液代等が必要になり作業を担当する人間をすべての時間切れないように勤務させていなければなりません。

通常の美容室のカット代金には、こうしたコストを含んだ上の価格設定になっているのですが、この1000円カットの「定時制」は対応できるメニューを時間で区切ることにより、そうした「待機費用」が生じません。実によく出来ているシステムだと思いました。

お客さんは安いから待つ「安い」は正義だった

そのお店の待ち時間は、通常20分から、長いときは40分ほどの待ち時間が発生するときもあります。外に面したカウンター席で雑誌をめくるお客さん、スマホを操作しているお客さん、まだまだ名簿で5~6人待ちなので近所のお店に暇つぶしに出かけるお客さんなど皆それぞれ多様な時間のつぶし方をしています。

皆「このお店は待ち時間長いから」と了解ずみの空気で、いら立つ人など一人もいません。だって待ってさえいれば1000円で髪をカットしてくれるから。それは待ちますよ。もしこれが3500円ぐらい取る美容室だったら、必ず誰かが怒り出すでしょう。

私はいつもそのお店の待ち時間ではSNSやメールチェック、晩御飯のメニューを考えるために料理雑誌を熟読しています。そうこうしていると、あっという間に呼ばれるので全く苦痛ではありません。 安いはやはり正義なのです。

広告代は徹底カット!店のオシャレ感なんか捨てるという潔さ

B店は12時~14時は1000円!14時~16時カラー1650円!とメニューを書いた看板がデカデカと表に立ててあります。オシャレどころか潔さすら感じる割り切りぶりです。

あんまり建物に飾り気が無さすぎるのではじめはてっきり理容室だと思っていました。しかし妙に目を引かれるのも確かです。あか抜けない方法かもしれませんが、実に合理的な広告戦略だと感じました。

当然その店はHPなども一切ありません。もちろん広告代カットのためでしょう。しかしそのあか抜けない、オシャレさのかけらもない無骨な看板を立てている限り、その道路を通る人にタダで広告ができる訳です。
「オシャレは一円にもならねぇ」というB店の割り切りが伝わってくる、実に潔い広告といえます。

気恥ずかしさがないから男性も取り込める

理容室に見まがう外見なこともあり、店は実にシンプルです。オシャレなインテリアもなし、カウンターとシンプルな椅子、本棚があるだけで、店はモノトーンで構成されています。B店に目立つのは男性客です(B店は美容室)

年配の男性、学生さん、中年のおじさんなど年齢構成はさまざまで黒一点のことが多い彼らですが、皆特に居心地悪そうにしている様子もありません。

B店は男性も女性もカットメニューは等しく1000円。余計な話をせず、ただ職人のように寡黙に切るだけです。髭剃りはありませんが、感覚としては理容室です。このお店がこうして男性客を取り込めるのは、B店が「女性向けのお店感」や「オシャレ感」を強く打ち出していないからです。

 

 

 1000円カットが安くできる理由まとめ

〇予約撤廃による人件費等の徹底的なコストカット

〇対応する時間を区切り勤務形態を入れ替え制にする

〇「立て看板」で広告代一切カット

〇武骨な見かけで男性客も呼び込む(対象客層拡大)

 

男女ともに間口を広げることによって多様な客を取り込む。安さの裏で「見かけのオシャレさを捨てる」など徹底的に省ける部分をカットしていることが分かりました。B店は淡泊に見えてかなり作りこまれた戦略のもとに営業されていると思いました。

 


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